【思い出】グランブルーファンタジーの思い出

2ch(5ch)の勢いを見ていたら久々にグランブルーファンタジーのガチャ爆死のスレがあった。
https://leia.5ch.net/test/read.cgi/poverty/1578185619/

グラブルと言えば数年前に問題になった『アンチラ事件』が有名だと思う。


簡単に説明すると、正月の限定ガチャ『ゆく年くる年レジェンドフェス』に2016年の干支の猿をモチーフにした『アンチラ』が登場する。このレジェンドフェスは最高レアリティのSSR排出率が通常の2倍(6%)に設定されているんだけど、『アンチラ』の排出率が異常に低く、多くのプレイヤーが爆死。中には80万円以上出しても出ないプレイヤーもいてちょっとした騒動になった事件。

さらに、有名声優が『アンチラ』を10連ガチャ一発で引き当てたり、その数日前に去年の限定干支キャラである『アニラ』を10連ガチャ2回で引き当てていてステマ(サクラ行為)が疑われた。(この件に関しては、排出するほうが仕込んだ可能性もあるし、本当に奇跡的な確率で手に入れた可能性もあるので一概には批判出来ない)

こんなことがあってからガチャの確率表示や天井の設置(9万で必ず手に入る)が設けられるようになったんだけど、今回の『ベリアル』は天井無しだったため、また爆死者が相次いだらしい。ただ、『アンチラ』の時と違って誤認させるような記述が無かったので、特に問題にはならなかったみたい。

僕がグランブルーファンタジーをプレイしていたのは2015年5月~2016年3月までのこと。そして、僕がこのゲームを引退する理由となったのがこの『アンチラ事件』だったりする。

でも、僕はアンチラガチャで爆死をしたわけでは無い。逆に一度もアンチラガチャを回さなかった。ではなぜ『アンチラ事件』で僕が引退を決意したのか、その話をする前に、僕がこのゲームをどんな風に楽しんでいたのかについて書きたいと思う。

僕がグラブルを始めたきっかけは、FF14のバハムート固定のメンバーの一部がグラブルで遊んでいたから。僕がグラブルを始めたころには既にFF14を引退していたんだけど、固定メンバー自体はギスギス禁止で集まったメンバーであり、とても感じのいい人たちだったのでみんなが遊んでいるならと僕もこのゲームを始めてみた。


遊んでみた感想はとても面白く、ゲームの内容自体はもうほとんど覚えていないんだけど、職業やキャラの個性(性能的な部分を含め)が豊富で、ロールやビルド的な概念もあり、他のプレイヤーとの連携の部分も含めてかなりMMORPGを意識した作りになっているように思えた。その上で、最初から居心地のいいコミュニティーが形成された状態で始められたのでバハムートのマスゲームに萎えていた僕にはちょうどいい緩さのゲームと言えた。

また、キャラクターデザインも、全て同一のタッチで描かれているのが評価出来た。というのも、通常この手のソシャゲはいろいろな絵師がデザインを担当するものだけど、統一感のなさや、絵師によってキャラクターの印象が変わるというのが愛着を持つうえで強い障害になり嫌だった。

勿論、デザインを統一したうえでそれが気に入らなければプレイ自体しないわけだけど、このゲームのデザインは僕のストライクゾーンど真ん中で、大量に存在するどのキャラクターに対しても素直に愛着を持つことが出来た。ある意味、気に入った絵師が全てのキャラを担当しているようなものと言えただろう。

そして最も気に入っていたのはこのゲームの価値観の高さ。これはネットゲームのさがなんだけど、金が集まらなければロクなアプデが出来ずに速攻終わる。逆に、金が集まればアプデが入りどんどん進化していく。1万円かけたものが1年で消えるか10年残るかでは全く違う。

そして金が集まるということは、実体のないデータにそれだけ高い価値観をもった人がいるということ。昔コショウは金と同じ価値だったわけだけど、それはその値段で買う人がいるから成立することであって、誰も買わなければそんな価値は無い。それはこのゲームにも言えることで、アンチラで80万、ベリアルで50万出してしまう人がいるというのが逆にこのゲームの最大の魅力とも言えた。

『MMORPGにとって最も重要な要素は何か?』 この質問に、ほとんどのクリエイターが 『コミュニケーション』 と答えるのではないだろうか? 実際、僕は数人のディレクターにこの質問をしたことがあるのだが、みんな口をそろえて...

僕はMMORPGだけじゃなく、ソシャゲも結構プレイしているんだけど、その上でいつも心がけるのが一番を目指すのではなく、価値観を楽しむというもの。例えばガチャというのは当てれば当てるほどダブる確率が高くなり、アプデが進むたびに分母が増え、闇鍋化していく。例え、強キャラが実装されてもしばらくすればもっと強いキャラクターが追加され終わりがない。回せば回すほど当たりを引く楽しみがなくなっていくのだ。

だから僕はレジェフェス(最高レア排出率2倍)ではガチャを回さなかった。もちろん無課金というわけでは無く、時々売り出されるガチャチケット付きのお得なパッケージをはじめ、月に1万円弱のペースで課金していた。そんな僕が好んで回していたのが『+1ボーナス確定ガチャ』。


これが何かというと、よくある強化システムのようなもので、ガチャから得られる装備には時々『+1』された装備が手に入る。これを使って他の武器を強化することが出来、効果は微々たるものだけど、超長期的にみると、レジェフェスでSSRをダブらせるより、この『+1』を集めた方が強くなるのではないかというのが僕の考えだった。だけど、この徹底した効率へのこだわりが不幸の始まりだった。

僕がこのゲームを引退するきっかけとなった『アンチラガチャ』はレジェフェスなので、この時も僕はガチャを回さなかった。そして僕はアンチラが手に入らずに出るまで回すマンになりかけていた騎空団(ギルド)の団員たちに頭を冷やすように注意を呼び掛けていた。それは僕がアンチラの排出率だけを下げてくることを予見していたからである。

どういう意味かというと、『アンチラ』は正月限定のキャラである。それも最初に出現するのはSSR排出率2倍のレジェフェスである。そして元々の確率は明記されていない。つまり、この先レジェフェスでしか出さないのなら、最初の確立はどんな数字にしても2倍だと言うこと……。

勿論、実際にそんなことをする人間がいるのか? という疑問が出るわけだけど、天然のメンタリスト(?)である僕は、生放送でこのゲームのプロデューサーをさんざん見ていたので、こいつならやりかねないやつだと簡単に予想することが出来た。


ではなぜ引退を決意することになったのかというと『アンチラガチャ』ではなくて『アンチラガチャの補填』の方に問題があった。

ポイントは二つ。一つ目は『アンチラガチャ』を回した人に同額分の宝晶石が配られたこと。宝晶石はゲーム内でしか使えないポイントだけど、『アンチラガチャ』を回した人は、ある意味ガチャを2倍回すことが出来る最高のキャンペーンだったと言える。

そしてもう一つが『ムーン』の実装予告。ガチャを回してSSRがダブると『ムーン』と呼ばれる特別なアイテムが手に入る。これは交換所を通じてゲーム内アイテムと交換が出来る。そしてこの『ムーン』、今までのダブリも換算して後日配布されるというのである……。

分かるだろうか? まさかこれほどのピンポイント爆撃を食らうとは思ってもみなかった。それも全くの不意打ちである。何が問題なのかというと、後から商品の価値を変えたのが良くなかった。例えば神様が現れて『10億円貰える権利』と『一日一回好きなおかずを追加できる権利』どっちかあげると言われたらみんなはどっちを選ぶだろうか? 僕ならおかずを追加できる権利を選択する。なぜならお金は相対的な価値を持つもので、好きなおかずは絶対的な価値を持つから。

どういうことかと言うと、神様が他の人にも同じ選択をさせていた場合、お金の価値は一気に暴落してしまう。でも好きなおかずはどんな状況でも好きなおかずなため、価値は失われない。それなのに、お金を選択した人たちが『こんなの聞いてない』と騒ぎ立て、神様が『ごめんごめん。暴落前の価値で補填するわ』とか言い出したらどうだろうか? 暴落するのが分かっていておかずを選択した人たちは『いや、ちょっとまて』ってなるよね? しかも、周りの人たちに『お金は暴落するからおかずを選択しろ』とか言っていたら目も当てられない。

オンラインゲームのデータというのも実体のない簡単に複製できるものであり、相対的な価値観を持つものだと言える。僕はダブリにしても、アンチラにしてもちゃんと提示されている商品の価値を読み取って別の商品を買うことを選択した。それなのに後から販売済みの商品の内容を変える行為は相対的に見て僕の購入した商品の価値を下げる行為であり到底納得のいく対応とは言えない。

本来なら『ムーン』はさかのぼらないのが妥当であり、『アンチラ補填』はやるならレジェフェス2倍キャンペーンも同時に開催しなければフェアじゃない。もちろん、それをするとガチャが回らなくなるし、金払いのいい客が逃げてしまうかもしれないけど、それがお詫びって物じゃない? 何で関係ない僕が割を食わなければならないのか……。

でも悲しいことに、僕の言い分を理解してくれる人はほとんどいなかった。2chにしても騎空団の団員にしても、完全に許すモードに入っていて、愚痴を聞いてもらったリアルフレンドにはお前病んでるよと言われる始末。そんなわけで、僕は全てを捨ててこのゲームを去ることにした。


でもさ、こうやって思い返してみても僕の言い分って間違ってなかったと思うんだよね。

なんていうのかな、僕はガチャをゲームの一部として自分の意思で回していたわけだけど、他の人達は欲望の赴くままに回していたわけじゃない? それはゲームを遊んでいるというよりもゲームに遊ばされているというのが正しいように思える。だから、今回のお詫びに関しても完全に運営の思惑に乗せられてしまったんじゃないかね……。

正直この件で、日本のガチャに対する法整備みたいなものが進むんじゃないかと思っていたんだけど、そのためにはまず、ユーザー側がガチャを回しているのではなく、回させられているのだということに気が付かなければ、変わる事は無いのかもしれないね。

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